Talk with Factory Manager

May 07, 2015

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FRUCTUSの加工所は福岡県にあります。
中心部の天神から徒歩10分。「薬院」というエリアに加工所を構えています。福岡のローカル線・西鉄電車が通っていて、バス停もすぐ近く。この薬院には、肉屋さんなどの個人商店やマイウェイを貫く飲食店、誰かに教えたくなるようなセレクトショップが点在していて、とても心地のいい街です。そんな朗らかな場所で、今日も私たちはグラノーラを焼いています。ちなみに今ちょうど『エジプト塩グラノーラ』が焼き上がったので、そのスパイシーな香りが窓を伝い、建物の外までおいしい匂いがフワフワと。。 これが加工所の日常です。

さて今日は、そんな加工所の空気感とともに、われらが工場長の冨永さんとFRUCTUSにまつわるヨモヤマ話をお届けします : )
会社のこと、グラノーラのこと、少し脱線もして日常についてのおしゃべりです。どんな人が、どういった思いで、どんな風にグラノーラを作っているのか… みなさんに感じ取ってもらえたらと思います。長文です。笑

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ほんと、世間って狭いし、よく繋がるね

— 冨永さんがFRUCTUSに入ったきっかけは?

冨(冨永) — 「前職の『スリービーポッターズ』(同じ薬院にある生活雑貨ショップ)が開催したイベントで出会ったのが最初ですよね。私はスリービーが営む『カフェポッターズ』に勤めてたんですが、そのイベントでは販売ブースに立っていて、隣がFRUCTUSブースで成田さん(オーナー)がいたんです。そこで立ち話していたら共通の友人が何人かいて、FRUCTUSには欠かせない人物の『マフィン&ジンジャー』の雨宮さんもいましたね!」

成(成田:FRUCTUSオーナー)—「千駄ヶ谷のショップにあった頃、雨宮さんのマフィンを販売していたんだよ。彼女が作るマフィンは本当センスが良くて、冨永さんと雨宮さんが同じ職場だったって聞いて、(冨永さんを)信頼できるって思った。」

冨 — 「そうそう、以前私が東京にいたときに代官山の『ヒルサイドパントリー』で働いていて、成田さんはそのヒルサイドのイベントにも参加してたんで、『もしかしたらあの時、同じ空間にいたかもしれないね』って話にもなり(笑)。そんな流れでいろいろ話していたら、加工所のスタッフを探してるって聞いたんですよ。」

成 — 「その時は、加工所は薬院じゃなくて小笹にあった頃だね。ちょうど製造スタッフが辞めるタイミングで、冨永さんならずっと飲食店で働いてきたし、パンや焼き菓子の製造経験もあって、なにより食べ物への関心やセンスが僕と近かったから共有できるものがありそうだと思ったんだよね。」

冨 — 「FRUCTUSの話を聞いていたらワクワクしてきて、一から作る楽しさを想像したんです。飲食の仕事をずっとやってきて、何となく慣れとかも出てきた頃だったので、新しいことをやってみようかなと。あと、“グラノーラの製造”って新しいジャンルだし、成田さんとしては“グラノーラ=プロダクト”という意識があるから、ルックスやキャッチコピーを含めたところの商品作りも興味深かったな。それで、面白そうだし、やってみようかなって。」

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食べるのが好き、作るのも好き、座り仕事が苦手〜(笑)

— 実際フラクタスに入ってみてどうだった?

冨 — 「加工所の仕事は想像よりも地道な作業、ふふ。でも私、単純作業が嫌いじゃないし、袋詰めとか時間を忘れて黙々とやる仕事は好きだからOK。普段はそんな感じだけど、たまに参加する出店イベントの接客がまたイイ息抜きになって。そういえば、グラノーラ教室もやりましたね。」

成 — 「うん、そうだね。いま思い出すと、小笹の加工所は狭かったな〜! 隣の『Manly Coffee』がお休みの時に休憩スペースにさせてもらったり、荷物を置かせてもらったりとかして… 振り返ると笑えるな〜。」

冨 — 「去年7月に薬院の加工所に引っ越しして、電気オーブンからガスオーブンに変わって、最初は勝手が違うし、焼き上がりにムラがでて安定しないからコツを掴むのが大変だった…。でもガスだと焼いても味が飛ばない気がする!表面はサックリこんがり焼き上がり、中に美味しさがこもる感じ。」

成 — 「ちなみに、冨永さんと同期の製造スタッフが、桑ちゃんとトーマスさん。ムードメーカー的存在でイベント時の接客プレイが光る桑原さん。きっちり気が利いてカバー力がある優しいトーマスさん。今は加工所が3人体制だから、安定した流れでグラノーラを製造できているね。」

— みんなの笑い声が聞こえると、今日もここは平和だなぁと感じます(笑)。

冨 — 「朝はだいたい『スッキリ』のラインナップのトークから始まります(笑)。あと、あそこのお店が美味しいとか、アレ面白かったよ、とか。だけど、話しながらもガンガン作ってますよ〜。みんな捌けるから“ながら作業”の集中力はすごいかも、ふふ。」

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アイデアやリクエストを商品化するまでのプロセス

冨 — 「加工所を薬院に移してから、作業効率が上がったし、コラボ商品も増えて、仕事がレベルアップしました。」

成 — 「前は僕も一緒にグラノーラを焼いたり、レシピ考案してたけど、冨永さんは僕より製造の経験値が高いから、安心して任せられた。食べ物の味をこうしてああしてって伝えるは難しいけど、味のセンスを共有できるとスムーズ。技術以上に求めるものはセンスだね! だから彼女を工場長として抜擢して、今やシーズナルエディション(期間限定商品)や、他とのコラボ商品のレシピ考案は全面的に任せているよ。」

冨 — 「去年はメニュー開発が連発しましたね〜。151Eの抹茶グラノーラ、伊都安蔵里の麹・きなこ・味噌の3種類、エジプト塩グラノーラ、とどろき酒店のロックンロ−ラグラノーラ、そして九州がテーマのシーズナルエディション!」

成 — 「秋冬は福岡と長崎の商業施設の期間限定出店もあったしね。忙しくさせたね〜。」

— どんな感じでアイデアレベルのものをレシピ化するの?

冨 — 「成田さんから『こういうコラボ話があるんだけど』って案をもらうんですよ。具体的に◯◯◯を使ったグラノーラにしたい、という材料ありきの企画から、季節を意識したシーズナルエディションまで、いろんなタイプの案がきます。そこで、まず私がするのは、食べたときの味をイメージすること。食べているところやターゲット(食べる人)のことの想像を膨らませながら、素材の組み合わせを考えるんです。『エジプト塩グラノーラ』だったら雑貨店に置かれるイメージだからパンチが効いた味もありかな…、『麹グラノーラ』は伊都安蔵里限定だから年配客も安心できる味がいいかな…、とか。『味噌グラノーラ』は、味噌のおせんべいみたいになるのかな〜ってイメージして、そこからレシピを考えましたよ。」

成 — 「まずは、いただいた企画が商品化できるかどうか判断して、冨永さんと共有して、桑ちゃんとトーマスさんも一緒に試作にとりかかる流れ。試作と言いつつ、この段階でだいたい完成系まで仕上がっていて、あとはコストやルックスを修正。でも今はそこも含めて製造スタッフが完璧に提案してくれるから、ぼくが修正することはほとんどないな!」

冨 — 「コレとコレを合わせたらおいしい。コレとコレの組み合わせはカワイイ。そんなセレクトする感覚は、これまでいろんなものを食べてきた経験の積み重ねなのかも。」

成 — 「やっぱり食べ物も物事もセンスだよな〜〜。」

— プライベートも食に興味あり?

冨 — 「旦那も飲食業(シェフ)なので、夫婦ともに美味しいごはんを食べることが大好き。絶対に有機のものじゃないと、というストイックではないけど、地の素材を食べる・添加物はおいしくない・旬のものがいいな…って意識はしています。」

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売れ線だけじゃなく、遊びやチャレンジのグラノーラがあってこそFRUCTUS

— 仕事で嬉しいことは?

冨 — 「自分が想像した味にバシッと仕上がったときは嬉しい! たかはしよしこさんの『エジプト塩』は以前から知っていて好きだったので、グラノーラにすると決まったときに『食べられるエジプト塩を作ろう』と想像したんです。レシピ考案の際は、エジプト塩のインパクトを壊しちゃだめだから、味のついたトッピングは足さずにナッツを増やし、甘味を少し足してバランスをとって、米油をごま油に変えて… と、実際やってみたら想像通りの仕上がりになって自分でもビックリした!」

成 — 「甘くないグラノーラって今までになかったし、くせになる味。あれは最高傑作だね!」

冨 — 「しかもエジプト塩自体、最初は別のところで知って、好きになって、でも今こうやってFRUCTUSとして自分も関わって…、不思議な感じ。実際に店頭に並んでいるのを見ると嬉しくなります。」

— 普段の製造からレシピ考案まで。グラノーラ作りで意識していることは?

冨 — 「福岡産イチゴのグラノーラとか、バナナとか、安定して売れるパターンは何となくわかっているんです。でもそればかり作り続けていても面白くないと個人的に思っていて、それはFRUCTUSの心理的にもそうなのかなって思ってます。」

成 — 「そうだね。裏テーマのあるもの、パンチがあるものも作っていきたいよね。普段のグラノーラもベースとして美味しく作り続けつつ、感覚的にハイレベルな人を感動させれるグラノーラも要所要所でぶっ込む、みたいな。xocolとの『カカオグラノーラ』はまさにそんな感じだ。」

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時間の流れが安定的であること、私生活も幸せであること

— 加工所での一日の流れは?

冨 — 「朝はメールチェック(受注確認)から始まり、早い段階で製造に入ります。その日に作るグラノーラは週間スケジュールを立てているので、今日はナッツだね、という具合で。製造スタッフが3人いるので作業も3つに分担していますが、固定の係を決めているわけじゃなくて、毎日入れ替わってそれぞれ飽きずにやっています。グラノーラの製造以外にも作業はあって、メールの返信、発送作業、商品や材料の在庫管理、シール張り、箱づくり…などなど。
途中でコーヒーを淹れて休憩したり、雑誌をチェックしたり、ドライフルーツを切ったり。イレギュラーな作業で時間に追われることもあるけれど、チームプレイで集荷時間の夕方4時には製造を終わらせてます。その後1時間ほど発注や伝票整理などの事務作業を。」

成 — 「時間やパワーに余裕を残しながら仕事をするのがうちのスタイル。私生活が幸せじゃないと、仕事で良いパフォーマンスはできないでしょう。朝9時に出勤して、今日のタスクに集中して、帰宅後はちゃんと晩御飯を作れるような健やかな環境で仕事をしてもらいたい。」

冨 — 「基本は土日祝がお休み。平日の休みも都合次第で取らせてもらって、だいたい月22日勤務かな。いま製造スタッフを募集しているので、グラノーラを食べたことなくても美味しいものが大好きだったり、料理が好きな人、FRUTCUSに興味がある人は、ぜひ連絡をください(笑)。加工場の見学もできますよ〜。」

— 薬院に加工所が移って良かったね

冨 — 「厨房も作業スペースも広くなったから使い勝手が良くなりましたね。駅からもスグだし、お昼の休憩中にコーヒーショップへ行ったり、近所の雑貨店(トラムやスリービーとか)にサクッと寄ったり、帰りは天神のデパ地下に寄って買い物とか、楽しくなった!」

— いま関心があることって何?

冨 — 「お腹にいる赤ちゃんのことかな。現在5カ月。ちなみに男の子です♪ 」

— ハッピーなオーラが伝わります♡ でも加工所は冨永さんがいなくて寂しくなります…

成 — 「彼女には今後もしばらくレシピのアドバイザーとして関わってもらおうかと!」

冨 — 「少し場所は離れますが、そういった関係性で繋がっていけると嬉しいですね。実は旦那とずっと目標にしていた独立が叶いそうで、夏頃、熊本市にビストロをオープンする予定です! 旦那はフランスでシェフ修行を経て、今(2015年5月時点)博多の『D&Department Fukuoka』の厨房で働いています。夫婦で小さなビストロを構えるのが夢だったので、遂に! です。でも私はそれより赤ちゃんのことで頭がいっぱい!! …っていったら怒られる?(笑)でもまぁ良いバランスです。」

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話したいことはマダマダいっぱい! 続きはまた。
こんな感じで今日もFRUCTUSの加工所はゆるやかに、そして季節を感じ、おいしいグラノーラのある暮らしを想像しながら作っています。
福岡に来られた時は、ぜひ薬院にお越しください。そこには人情あふれるお店やイイもの、おいしいものがたくさんあります。グラノーラが焼けた美味しい香りも漂っていることでしょう。興味があったら見学しに来てくださいね(製造スタッフも募集中です)♪